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医療機関で増える「未払い残業代問題」 ~法的なリスクに備えましょう~

2018/08/28

■医療機関にも求められる未払い残業代対策

病院やクリニックの経営者が従業員である医師やスタッフから残業代を請求されることも珍しくない時代になりました。

ご承知のとおり、昨年7月には、医師の年俸1700万円の中に残業代が含まれるとはいえず、別途、法律に従った計算をした残業代を支払うべきであるという最高裁判決が出され、大きな反響を呼びました。このように、医療機関にも残業代請求の波が押し寄せていますが、医療機関としてはどのような対策を講じるべきでしょうか。

■残業時間を減らす取り組みが重要

残業代は、法律上、「時間単価×割増率×残業時間数」という計算式により算出されることになっていますが、このうち「時間単価」と「割増率」については法律で定められた計算方法を下回る合意はできないとされています。したがって、残業代を抑えるためには、結局、「残業時間数」を減らすしかありません。医療機関の場合、応召義務があるため、直ちに残業時間を減らすことは困難ですが、今後、タスクシフティングやAIの活用などにより業務の効率化を図ることによって、残業時間を削減する取組みがより一層重要になってきます。

■院内に向けた明確なメッセージの発信

また、残業時間を減らすためには、その前提として労働時間の適切な把握と管理が不可欠ですが、そのためのシステム構築や、管理職やスタッフに対する研修・教育も必要となります。加えて、組織全体として、無駄な残業はしないという方針を明確化し、それを従業員に意識づけることが何よりも重要であるといえます。組織のトップから、残業削減に向けた明確なメッセージを発信することが大切であると考えています。

■固定残業代の導入で注意すべきポイント

なお、最近では、残業代の定額払(固定残業代)を導入するケースもみられますが、制度設計にあたっては十分な検討が必要です。例えば、「職務手当」などという名目で残業代を定額払する場合、就業規則(賃金規程)や労働契約書等において、これが残業代の趣旨で支給されていることが明らかにされていないと、残業代の支払として認められない可能性があります。また、基本給に一定時間数の残業代を含ませて支給する場合は、基本給部分と残業代部分を明確に区別できることが必要となります。このように、固定残業代の支給にあたっては、きちんと制度設計をしておかないと、後日、支給したはずの残業代が法的に認められないという事態にもなりかねませんので、制度の設計・導入にあたっては専門家へご相談されることを是非お勧めします。

■ご相談はこちら

今回例に挙げた残業代の問題以外にも、当事務所では病院、クリニックの法律相談を扱っております。ご不安な点がありましたらご相談ください。

セブンシーズ総合法律事務所

弁護士 鈴木 成之、弁護士 内田 靖人

 

 

セブンシーズ総合法律事務所について

医療法務を中心に取り扱っている法律事務所です。医療機関の顧問先を複数持ち、医療法務におけるノウハウが深く、様々な事案に対応することが可能です。

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