訪問看護の経理・財務のポイントについて
2026/02/12
医療・介護業界の経理や税務は、一般企業とは異なる点があります。
今回は、訪問看護を運営するうえで知っておきたい「経理・税務のポイント」を解説します。
1.訪問看護の売上構造
訪問看護の売上は、大きく分けて以下の2つです。
・利用者負担金(窓口で支払ってもらう1~3割分)
・保険給付費(国保連などから支払われる7~9割分)
訪問看護サービスを提供した場合、報酬は利用者と保険者の双方に対して請求する仕組みとなっています。
保険給付費の請求先は、国民健康保険団体連合会(国保連)
2.請求から入金までの流れ
・利用者へサービスを提供し、その内容を記録します。
・記録に基づき、国保連へ提出する請求書(レセプト)を作成します。
・サービス提供月の翌月1日~10日までに、国保連へレセプトを提出します。
・利用者へ自己負担分の請求書を発行し、入金を確認します。
・国保連にて請求内容の審査が行われます。
・審査を通過した給付費が、サービス提供月の翌々月にステーションへ振り込まれます。
給付費の入金まで約2か月かかるため、資金繰りには十分な注意が必要です。
例えば、4月の売上が通帳に入金されるのは6月です。つまり、2か月分の運転資金を確保しておかないと、「売上はあるのに経費を支払えない」という黒字倒産のリスクにつながります。
資金繰り(キャッシュフロー)の管理は、経営上非常に重要です。
3.訪問看護の経費の割合
訪問看護事業における経費の大部分は、人件費が占めます。
・人件費(費用の60~80%)看護師や理学療法士の給与、福利厚生費など。最大のコストです。
・変動費:訪問時に使用するガソリン代や、使い捨ての手袋・ガーゼなどの医療材料費。
・固定費:家賃、通信費、減価償却費など、売上に関係なく発生する費用。
訪問看護の経営では、人件費の管理と訪問件数の増加による生産性向上が黒字化の重要なポイントとなります。
4.訪問看護の税務・会計について
訪問看護には、公的サービスであるがゆえの独自ルールがあります。
① 毎年の「経営情報の報告」
令和6年度の法改正により、すべての介護サービス事業者は、収支状況や役員報酬などの経営情報を都道府県知事へ報告することが義務化されました。
また複数のステーションを経営している場合や、他に不動産業などを営んでいる場合、事業所ごとに会計を分ける必要があります。
② 「発生主義」で計上する
「お金が入った時」ではなく、「サービスを提供した時」に売上を計上します。
例えば、3月に提供したサービスは、入金が5月であっても「3月の売上」として処理し、入金までは「売掛金」として管理します。
③ 消費税は「非課税」
訪問看護の売上は、基本的に消費税がかからない「非課税取引」です。
訪問看護ステーションの経理・税務では、介護保険・医療保険制度に基づく報酬体系を正しく理解し、サービス提供月を基準とした売上管理を行うことが重要です。
訪問看護の経理・税務は少し複雑ですが、正しい報告と正確な処理を行うことは、ステーションの信頼を守り、働くスタッフの安心にも繋がります。
大切なステーションとスタッフを支えるために、できるところから少しずつ整えていきましょう。
