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高額医療機器の減価償却は特別!中小企業の特例と医療独自の優遇税制を徹底解説

2025/12/17

医療機関にとって、高額な医療機器や設備の導入は、質の高い医療提供のために不可欠な投資です。
しかし、その投資額は大きく、キャッシュフローへの影響が気になるところです。実は、これらの設備投資には、税負担を軽減し、早期の設備更新を支援するための「特別償却」や「税額控除」といった税制優遇措置が用意されています。
今回は、中小企業が活用できる一般的な特例と、医療機関に特化した独自の特別償却制度について、分かりやすく解説します。

1. 減価償却の特例とは?「特別償却」と「税額控除」

設備投資をした際、その費用を一度に経費計上するのではなく、耐用年数に応じて少しずつ費用化していくのが「減価償却」です。この減価償却を通常のルールよりも有利に行えるのが特例制度です。
① 特別償却:取得した初年度に、通常の償却費に加えて、取得価額の一定割合を前倒しで経費計上できます。初年度の税負担が軽くなり、キャッシュフローが改善する(税負担の繰延)効果があります。
② 税額控除:取得価額の一定割合を法人税(または所得税)から直接差し引くことができます。企業の赤字でなければ、税金が直接減るため、実質的な税負担の軽減効果があります。

2. 中小企業の一般的な特例(中小企業投資促進税制)

中小企業者等(資本金1億円以下など)が、機械やソフトウェアなどを取得した場合に利用できる一般的な特例です。
対象:機械及び装置(160万円以上)、ソフトウェア(70万円以上)など
優遇措置:取得価額の30%特別償却または7%税額控除
適用要件:一定の要件を満たす設備であること

❌ 医療機器(器具備品)は原則対象外!

ここで重要な注意点です。医療機関が取得するCT、MRI、X線装置などの「医療機器」(勘定科目上は器具及び備品に該当)は、この中小企業投資促進税制の主な対象外とされています。
したがって、高額な医療機器の優遇税制を検討する際は、医療機関に特化した独自の制度を活用する必要があります。

3. 医療機器に特化した2つの特別償却制度

医療機関が行う特定の設備投資を支援するため、医療機器独自の特別償却制度が設けられています。

① 高額医療機器等の特別償却制度
高度な医療の提供に資する高額な医療機器の導入を促進する制度です。

対象取得価額が500万円以上の医療機器等のうち、厚生労働大臣が告示で定める高度な機器
優遇措置:取得価額の12%の特別償却
適用期限:令和9年3月31日までに取得し事業の用に供したもの
この特例を活用することで、高額なCTや超音波診断装置などの導入初年度に、通常の償却費に加えて取得価額の12%を費用化でき、初年度の税負担を大きく軽減できます。

② 医師及び医療従事者の労働時間短縮に資する機器等の特別償却制度(働き方税制)

医師等の働き方改革を推進し、勤務環境の改善に役立つ設備投資を支援する制度です。
対象資産:取得価額30万円以上の器具・備品、ソフトウェアなどで、医師等の勤務時間短縮に資するもの
優遇措置:取得価額の15%の特別償却
適用要件:事前に「医師等勤務時間短縮計画」を作成し、都道府県の確認を受ける必要がある
適用期限:令和9年3月31日までに取得し事業の用に供したもの

医療機関の設備投資における減価償却の特例は、多岐にわたり、制度ごとに要件が複雑です。これらの優遇措置を最大限に活用するためには、機器の取得前に、どの特例が適用できるか、特別償却と税額控除のどちらが有利か、必要な手続きは何かを確認することが重要です。
高額な設備投資は、非常に重要な決断です。税制優遇措置を賢く利用し、安定した健全な医療経営を目指しましょう。

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